甲斐バンドといえば、「HERO(ヒーローになる時、それは今)」や「安奈」といった名曲で知られるバンドです。
学生時代や青春の1ページに、彼らの楽曲が刻まれているという人も多いのではないでしょうか。
私も例外ではなく、「HERO」を聴いては部活の後に仲間と熱く語り合った日々が懐かしく思い出されます。
ですが、彼らの魅力はこれらのヒット曲にとどまりません。
アルバムに隠された名曲や、ライブでしか味わえない曲が山ほどあるんです。
今回は、私が特に心に残った隠れた名曲たちを紹介しながら、その曲がもたらした思い出や感動について語ってみたいと思います。
甲斐バンドとは?
甲斐バンドは、1974年に福岡県で結成された日本のロックバンドです。
リーダーの甲斐よしひろ(ボーカル・ギター)を中心に、松藤英男(ドラムス・ギター)、田中一郎(ギター)、長岡和弘(ベース)、大森信和(ギター)といったメンバーで構成されていました。
彼らは、1975年にシングル「裏切りの街角」でメジャーデビューし、その後「HERO(ヒーローになる時、それは今)」や「安奈」など、多くのヒット曲を生み出しました。
1986年に一度解散しましたが、1996年に再結成し、現在も活動を続けています。
甲斐バンドの音楽は、ロック、ポップス、ブルースなど多様なジャンルを取り入れ、深い歌詞とメロディで多くのファンを魅了してきました。
特に、甲斐よしひろの力強い歌声と情熱的なパフォーマンスは、彼らの音楽の特徴的な魅力となっています。
2024年11月にはデビュー50周年を迎え、記念イベントや特集が行われています。
彼らの音楽は、今も多くの人々に愛され続けています。
甲斐バンドの隠れた名曲は?
甲斐バンドの隠れた名曲について思い出や感想も紹介します。
「最後の夜汽車」
「最後の夜汽車」は、甲斐バンドの1978年のアルバム『この夜にさよなら』に収録された楽曲で、作詞・作曲は甲斐よしひろ氏が手掛けています。
小学生の頃、テレビやラジオから流れる大人っぽい曲はどこか遠い世界のものに感じていました。
この曲の哀愁漂うメロディーは、まだ旅を知らない私にとって「夜汽車」という響きだけで冒険や未知の世界を想像させるものでした。
夜行列車が多く走っていた時代、家族旅行で乗った列車の窓から見た風景が、後にこの曲を聴いたときに重なり、大人の寂しさや自由を少しだけ感じられるようになりました。
「BLUE LETTER」
この楽曲は、甲斐よしひろ氏が作詞・作曲を手掛け、歌詞の中に放送禁止用語が含まれていたため、発売当初はテレビでの放送が控えられました。
しかし、その後、1986年の解散前に出演した『夜のヒットスタジオ』や2010年の『ミュージック・フェア』などで演奏され、ファンの間で高い評価を受けています。
手紙というものにロマンを感じ始めたのは、まだ中学に上がる前くらいのことだったと思います。
学校の授業で書かされた友達への手紙や、家に届く親宛の手紙の封筒を開けるときのドキドキ感。
それが、大人になると「別れ」や「未練」という感情に変わるのだと、後にこの曲を聴いて知りました。
子どもの頃の純粋な手紙への思いと、この曲の切なさが不思議とリンクして、妙に心に残るんです。
「メガロポリス・ノクターン」
「メガロポリス・ノクターン」は、甲斐バンドの1986年5月1日に発売された33枚目のシングルで、同年7月17日に再発売されています。
この楽曲は、アルバム『REPEAT & FADE』からのシングルカットで、作詞は松山猛氏、作曲はドラムスの松藤英男氏が担当しました。
東京の夜景をテレビや雑誌で見て、「都会ってこんなにキラキラしているんだ」と憧れていた小学生の頃を思い出します。
当時、都会に住む親戚の話を聞いては「夜の街はどんな風に見えるんだろう」と想像していたものです。
この曲を大人になって聴いたとき、その頃の漠然とした憧れがよみがえり、都会の寂しさや華やかさがリアルに感じられるようになりました。
「レイニー・ドライヴ」
「レイニー・ドライヴ」は、甲斐バンドの1986年3月1日に発売された32枚目のシングルで、同年リリースのアルバム『REPEAT & FADE』の先行シングルとして知られています。
この楽曲は、作詞を松尾清憲氏、作曲をドラムスの松藤英男氏が担当し、甲斐よしひろ氏がボーカルを務めています。
この曲を聴くと、雨の日がこんなにもロマンチックなものになるのかと驚かされました。
車のワイパーのリズムや、雨の街並みが歌詞と重なり、あの頃は知らなかった「雨の美しさ」を教えてくれる一曲です。
「漂泊者(アウトロー)」
「漂泊者(アウトロー)」は、甲斐バンドの1980年7月20日に発売された15枚目のシングルで、同年リリースのアルバム『地下室のメロディー』の先行シングルとして知られています。
この楽曲は、テレビドラマ『土曜ナナハン学園危機一髪』の主題歌として発表されました。
歌詞は、社会の混乱や不安を背景に、孤独な心情を描いています。
当時、テレビドラマや映画の中で描かれる「アウトロー」なキャラクターに憧れたものです。
西部劇のヒーローや、流れ者の主人公に心を躍らせていました。
甲斐バンドのこの曲を後になって聴いたとき、幼い頃に抱いた「自由でかっこいい大人」のイメージがよみがえりました。
小学生の私には遠い世界だったアウトローが、大人になって「自分の生き方」にも通じるものだと気づかせてくれた曲です。
「裏切りの街角」
「裏切りの街角」は、甲斐バンドの1975年6月5日に発売された2枚目のシングルで、同年リリースのアルバム『英雄と悪漢』に収録されています。
この楽曲は、甲斐よしひろ氏が作詞・作曲を手掛け、しっとりとしたメロディーと切ない歌詞が特徴です。
オリコン週間シングルランキングでは最高位7位を記録し、シングルは75万枚の売り上げを達成しました。
また、第8回日本有線大賞優秀新人賞を受賞しています。
当時、家のテレビやラジオから流れてくる「裏切り」という言葉の響きが何となく怖くて、それでいて少し大人っぽく感じた記憶があります。
小学生には到底理解できない歌詞の意味が、大人になってからしっくりくる瞬間がありました。「
裏切り」には冷たさだけでなく、どうしようもない人間の弱さや温もりも含まれているのだと、この曲を通して知りました。
「テレフォン・ノイローゼ」
甲斐バンドの「テレフォン・ノイローゼ」は、1976年12月20日にリリースされた6枚目のシングルで、アルバム『ガラスの動物園』からのシングルカットです。
家に電話があった時代、子どもにとって「電話」は親が使うもの、という感覚が強かったですね。
大人が受話器を握りしめて話している姿を見るたびに、「何をそんなに必死で話しているんだろう」と不思議に思ったものです。
この曲を初めて聴いたとき、「電話」という道具がこんなに切ない物語を生むのだと知り、幼い頃の感覚とのギャップに驚きました。
「マドモアゼル・ブルース」
「マドモアゼル・ブルース」は、1968年1月25日にザ・ジャガーズがリリースした楽曲で、作詞は橋本淳、作曲は筒美京平によるものです。
この曲は、赤いレンガの街角で雨に濡れる女性を描いたバラードで、シルクのドレスを着せてあげたいという男性の切ない想いが歌われています。
1978年には、甲斐よしひろがソロアルバム『翼あるもの』でカバーし、シングルとしてもリリースされました。
子どもの頃、テレビで歌番組を見ていると、大人の男性がブルースを歌う姿に「かっこいい」と思いつつも、少し怖い印象がありました。
この曲も、最初に聴いたときは歌詞の意味などわからず、ただ「大人の世界だ」と感じていました。
でも、年齢を重ねると、あの頃には見えなかった「大人の遊び心」や「肩の力を抜く生き方」が見えてくるようになりました。
小学生の頃の憧れが、今では自分の中に息づいている気がします。
「ビューティフル・エネルギー」
「ビューティフル・エネルギー」は、1980年3月20日にリリースされた甲斐バンドの14枚目のシングルで、作詞は甲斐よしひろ、作曲はドラムスの松藤英男によるものです。
この曲は、松藤が初めて作曲を手掛けた作品で、彼自身がボーカルを担当しています。
歌詞は、恋愛の情熱とエネルギーをテーマに、美しいメロディーとともに表現されています。
シングルはオリコンで最高9位を記録し、25万枚以上のセールスを達成しました。
また、カネボウ化粧品のCMソングとしても起用され、広く親しまれました。
この曲を後に聴いたとき、その頃の自分の中にあったエネルギーと重なるものを感じました。
子どもの無邪気な力強さと、大人になっても失いたくない前向きさが詰まったこの曲は、いつ聴いても元気をくれる存在です。
「観覧車’82」
「観覧車’82」は、1982年にリリースされた甲斐バンドの楽曲で、アルバム『虜-TORIKO-』に収録されています。
この曲は、雨の日に結婚式を挙げた二人の思い出と、壊れた観覧車の冷たさを通じて、過ぎ去った青春と失われた夢を象徴的に表現しています。
歌詞では、結婚式の思い出や観覧車のエピソードを通じて、若さと夢の儚さを描写しています。
特に「壊された観覧車の鉄のように冷たく 空に刺さったままだ」というフレーズは、失われた夢の冷たさと永遠に残る痛みを象徴しています。
子どもの頃の遊園地といえば、ジェットコースターや観覧車が特別な存在でした。
この曲を聴くと、家族で遊びに行った日の観覧車の中の静けさや、そこから見た景色を思い出します。
あの頃の純粋な楽しさが、大人になってから聴くこの曲の中にしっかりと生きていて、懐かしさと同時に少し切ない気持ちにさせてくれます。
甲斐バンドの隠れた名曲たち
甲斐バンドの隠れた名曲は、私たちの日常の一部として寄り添ってくれる力を持っています。
ヒット曲のような派手さはないけれど、その静かな輝きが心の奥深くに染み渡るのです。
甲斐バンドの音楽を聴いていると、人生に必要な答えがそこにあるような気がしてなりません。
特にアルバムを通して聴くと、その奥深さに気付かされます。
まとめ
甲斐バンドの隠れた名曲には、聴く人それぞれの思い出や人生を彩る力があります。
私にとってそれらの曲は、孤独なときや悩んだときに支えとなる大切な存在です。
まだ聴いたことがない方は、ぜひアルバムを手に取り、甲斐バンドの知られざる世界に触れてみてください。
それは、きっとあなた自身の物語を豊かにしてくれるはずです。
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