建築家であり、都市再生の先駆者として注目を集める馬場正尊さんは、さまざまなプロジェクトを手掛けてきました。
特に「東京R不動産」の運営や、都市再生に対する独自のアプローチには、多くの関心が寄せられています。
今回は、馬場さんの経歴を辿りながら、その仕事や考え方に焦点を当てていきます。
建築家 馬場正尊の経歴!
初回放送:7月5日(金)夜10時~
NHKのドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』に、東京R不動産立ち上げメンバーのひとりである馬場正尊が出演します。
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— 東京R不動産 (@tokyo__r) July 2, 2024
馬場正尊さんのプロフィールは、その経歴とともに非常に多彩で興味深いものです。
キャリアは、建築家としての活動にとどまらず、都市の再生や社会的な価値の創出にも関わる幅広い分野に広がっています。
まずはその生い立ちから、どのようにして現在の地位を築いたのかを深掘りしていきましょう。
生い立ちと学び
馬場正尊さんは1968年に佐賀県で生まれました。
佐賀県という、どちらかと言えば静かな地域で育ちましたが、その視野は早くから広がりを見せました。
大学では建築学を専攻し、学問としての建築学に深く触れることとなります。
特に早稲田大学大学院に進学したことで、学問の枠を超えて、実務的な視点や社会における建築の役割について考えるようになりました。
大学院時代には、ただ単に建物を作ることだけが建築の仕事ではないということに気づき、建築がどのように社会を形成し、どのように人々の生活と結びついているのかを学びました。
この視点は、後のキャリアにおいて非常に重要な要素となり、その設計やプロジェクトに対するアプローチにも大きな影響を与えました。
博報堂での経験
大学院を修了した後、馬場さんは博報堂に入社します。
広告業界という、建築とは一見無関係に見える分野での経験が、後のキャリアにどう繋がるのかと思うかもしれませんが、ここでの経験が馬場さんに与えた影響は大きいです。
博報堂では、広告の世界で多くの大規模な事業やプロジェクトに携わることとなり、マーケティング、ブランド戦略、コンセプト設計といった分野で深い知識と経験を積みました。
広告業界で身につけた「人々の心を動かすデザイン」という視点は、後の建築設計においても重要な役割を果たしました。
物件や空間をただの「箱」として捉えるのではなく、そこに住む人々や訪れる人々の心に響くようなデザインを目指すようになったのです。
独立と「Open A」の設立
博報堂での経験を経て、馬場正尊さんは2003年に独立し、自身の建築設計事務所「Open A」を設立しました。
独立後は、これまでの広告業界での経験を活かし、建築設計だけにとどまらず、都市空間や地域再生など、より広範囲にわたるプロジェクトに取り組むようになります。
「Open A」の設立当初から、馬場さんは建築の枠を超えた新たなアプローチを目指していました。
具体的には、単に新しい建物を建てるのではなく、既存の建物や空間に対してリノベーションを施し、その地域や文化、歴史を生かした再生プロジェクトに力を入れていきました。
このアプローチは、物件や空間の新たな価値を引き出し、都市空間全体を活性化させることを目指しています。
また、「Open A」設立からは、都市と人々をより良く繋げるための多様なプロジェクトに関わるようになります。
馬場さんが手掛けたプロジェクトは、どれも単なる建物のデザインにとどまらず、その周囲の環境や社会的な価値をどのように変革するかを意識したものです。
このように、その仕事は単なる建築家の枠を超えて、社会全体の再生を目指したものへと広がっていきました。
建築設計における独自のアプローチ
馬場正尊さんの建築設計における独自のアプローチは、ただ建物を設計するという考え方から一歩踏み込んでいます。
彼が重視しているのは、建物自体だけではなく、その周囲の環境や街の文脈、地域における歴史や文化です。
物件や空間には、それぞれに固有の物語があると考え、それを最大限に引き出すことを目指しています。
例えば、馬場さんが手掛けたリノベーションプロジェクトでは、単に外観を新しくするだけでなく、その建物がどのように使われてきたのか、どんな人々がその空間を共有してきたのかという点に注目しています。
こうした背景に基づいて設計を行うことで、ただの「新しい建物」ではなく、その場所の歴史や文脈が生きるような空間を作り上げているのです。
また、馬場さんは「都市空間の再生」を重視しており、古くなった施設や空間に新たな価値を見出し、地域活性化を促進することを目的としています。
こうしたアプローチは、ただの「リノベーション」ではなく、地域全体の社会的な価値を向上させる力を持っています。
建築家 馬場正尊の東京R不動産の運営秘話
ベビーカーに子供を乗せたまま玄関に入れる、広めの土間スペースもうれしいポイントです。 pic.twitter.com/DEvItX1Zva
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「東京R不動産」は、2003年に馬場正尊さんが中心となって立ち上げた不動産仲介サイトです。
このサイトは、従来の不動産サイトとは一線を画し、個性的な物件を独自の視点で紹介することに特化しています。
そのため、物件選びを楽しむ人々や、リノベーションを試みたい人々にとって、非常に魅力的なサイトとなり、リノベーションブームを牽引する存在となりました。
「東京R不動産」では、ただ物件を売買するのではなく、場所の持つ魅力や可能性を引き出し、そこに新しい価値を加えていくことを目指しています。
その結果、物件に新たな命を吹き込み、過去の遺産を再生させることができました。
多くの人々が、その独自のアプローチに感銘を受け、サイトは急成長を遂げます。
東京R不動産の成功要因
馬場さんが「東京R不動産」を運営する中で大切にしているのは、「物件が持つストーリーや歴史を重視すること」です。
建物にはそれぞれの物語があり、単に「古いから取り壊す」といった安易な方法ではなく、その魅力を最大限に活かすリノベーションを行うことを第一に考えました。
これにより、ただの不動産仲介サイトではなく、建物の価値を新たに見いだすためのプラットフォームとして、多くの支持を集めることができました。
建築家 馬場正尊の都市再生に対する考え方
馬場正尊さんの都市再生に対するアプローチは、単なる新しい建物を作ることではなく、既存の建物や空間の持つ価値を再発見し、それを活かすことにあります。
近年、多くの都市が古い建物を取り壊し、跡地に新しいビルを建てるという選択をしてきました。
しかし、馬場さんはこれを「もったいない」と感じ、その逆のアプローチを取ります。
古くても味わい深い建物や、使われなくなった施設に新たな命を吹き込むことで、都市の中に新しい風を吹き込むことができると信じています。
こうした視点を取り入れたリノベーションや再利用を進めることで、街全体が持つ文化的価値や歴史的背景が色濃く残り、より豊かな都市空間が作り上げられると考えています。
公共空間の活用と再生
また、馬場正尊さんは、公共空間の再生にも積極的に取り組んでいます。
2015年に立ち上げた「公共R不動産」では、公共施設や空間をリノベーションし、地域の活性化を目指したプロジェクトが展開されました。
これは、民間と行政が連携して行う取り組みで、使われなくなった公共施設を再生し、地域の人々にとって新たな役割を持つ場所へと変革することを目指しています。
公共空間の再生は、単なる物理的な改修だけでなく、その場所が持つ社会的な役割や地域コミュニティとのつながりを再構築することが求められます。
このプロジェクトでは、単に建物をきれいにするのではなく、使い方を根本から見直し、地域社会にとって必要不可欠な存在となるように働きかけています。
建築家 馬場正尊の近年のプロジェクト
近年では、広島県福山市の廃デパートを利活用した「iti SETOUCHI」や、東京・有楽町の隙間を公園化する「Slit Park YURAKUCHO」など、都市の隙間に新たな価値を生み出すプロジェクトを手掛けています。
これらのプロジェクトでは、従来の都市開発の枠を超えて、既存の都市空間を最大限に活用する方法を模索しています。
特に「iti SETOUCHI」は、地域活性化の象徴的なプロジェクトとなり、廃デパートの再生を通じて、地域の新たな文化的中心地を作り上げました。
このような取り組みが、地域の経済や文化の発展に寄与することは、都市再生の理想的な姿と言えるでしょう。
建築家 馬場正尊の教育活動
馬場正尊さんは、建築設計の専門家としてだけでなく、教育者としても活動しています。
2008年からは東北芸術工科大学の准教授として、2016年からは教授として後進の育成に努めています。
若い建築家やデザイナーたちに、自身の経験をもとにした実践的な知識を提供し、都市空間のデザインやリノベーションに対する深い理解を促しています。
また、馬場さんの教えは、単に技術的な部分だけでなく、社会的な視点を持った建築家を育成することを重視しています。
建築が人々の生活やコミュニティにどのように影響を与えるのかを常に考え、学生にもその重要性を伝えています。
まとめ
今日はいすみ市のリノベキャンプの最終日。国吉駅前の旧商工会ビルに、R不動産・オープンAの馬場正尊さんが来てくれました! pic.twitter.com/Dn3MoVLnIR
— 創造系不動産 (@souzou_kei) January 27, 2019
馬場正尊さんのこれまでのキャリアや取り組みを通じて、建築と都市再生の未来に対する深い洞察が見えてきます。
そのアプローチは、単なる建物の設計に留まらず、その背後にあるストーリーや歴史、社会との関わりを大切にしています。
また、公共空間の再生や地域活性化に対する強い思いも感じられ、今後ますます注目されるべき存在と言えるでしょう。
都市の再生やリノベーションに興味がある方にとって、馬場さんの活動は大きなインスピレーションを与えてくれるものです。
これからもその新たな挑戦が、どのように都市や社会に影響を与えていくのか、楽しみにしたいですね。
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